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でんしゃのひと萌えブログ。 遅延も萌えれば人生三倍楽しいぜ! (毎朝デフォで数分遅れる子に乗ってますのでね…)
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【SS付(何)】あれから4年……
何やってんですか相川さん?

…ええわかってます。こんなことやってる場合じゃないだろいろんな意味で、と自分ツッコミ。
でも、うん、今日で四年なんだよね、と思ったら。


そう。本日10/23は、上越上官がとってもとってもがんばった、中越地震から4年、の日です。
あの頃私はまだ伊勢崎線沿線に住んでいて、んでこの日は社員旅行で鬼怒川温泉に来ていたのでした。そして地震は起きた。揺れて怖かった…。男性陣は揺れてる中風呂入り行ってたみたいですが(強え)。
 そして同室だった人たちとか諸々のアレでなぜか(?)テレビをつけなかったので、翌日、帰宅してからあれがどれほどの地震だったのかを知ったのでした。
 もちろん、ときたんががんばったのを知ったのも後日。
 ……あの時がんばったのは上越さんでなくて越子ちゃんじゃね?とかも思ったりもしますが(笑)、今回は上越さんてことで。


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『静かなる祈りよはばたけ』


 天気予報は雨だった。そして予報通り、東京は降ったり止んだり、千葉や静岡の方では在来線が大雨で一時運休もしている。
 上越は窓辺に佇み、ガラスの向こう、くすんだ雲を一人見つめていた。
 日本海の雪雲とは違う趣のグレイ。それは内包する水分の温度の違いか。それとも他に何かあるのか、上越の胸の奥に沈む雪の結晶のように綺麗で冷たくて頑なで脆い何か。
 落ち着かない。
 けれどそんな内心を易々と悟らせるような上越ではない。今日が何の日か、は、同僚たちも部下たちも知ってはいるだろう。だが当事者でない者たちには、きっと言われて思い出す程度のことだ。4年も前の出来事なんて。
 胸ポケットに指を差し入れ鎖を手繰る。懐中時計を開くと、針は逆くの字の形をしていて、あと10分ほどで18時になることを告げていた。
「4年……か……」
 もうそんなになるのか、まだそれだけなのか。同時に思う。
 去年の今日は、まだ仮設住宅を出られない人がいた。昨年末にようやく、最後の被災者が仮設住宅から新居へと移り、今年は長岡で花火も打ち上げられ、ようやく迎える、今日という日。
 西の空を見上げ、また時計へと目を落とし、瞼を閉じる。
 命を落とした人、大切な人を失った多くの人に。そして多くの命を救い、代わりにボロボロになって、今後の安全対策のための研究材料となった車両に。
 しばし黙祷を捧げ、上越はゆっくりと目を開いた。懐中時計を胸ポケットにしまい、その手を開く。
 掌には、あの時強く強く握りしめた時についた爪痕が、いまだうっすらと残っていた。
 あの時はとにかく必死だった。40年の長きにわたる新幹線の安全神話を崩すわけにはいかない、とか、これで死傷者を出そうものなら北陸新幹線全通後の立場がなおさら危ういとか、そんなことは考えている余裕もなかった。ただ必死で、止まれ、止まれと念じた。運転手も車掌も、乗客たちも、きっと皆同じことを祈っていたに違いない。
 そして車両は止まった。ただのひとりの負傷者も出さずに。
「らしくないことしたよね……」
 自嘲の笑みとともにひとりごちる。
 と、音もなく現れた人影に上越は目を瞠った。
「――覗き見? 悪趣味だね」
「いや、今来たところだ」
 無愛想とも取れる無表情は、その真意を読み取りづらい。悟らせてなどやらないけれど、上越がこの世で一番苦手で、一番嫌いで、けれど悔しいことに一番大切な存在。
 この上なく鈍くて敏い同期は、それ以上何も言わずに上越の間近までやって来ると、いきなり手首を掴んだ。
「ちょっと、何……」
 抗議をものともせず引き寄せて。
 その掌に口づける。
 上越と、東北しか知らない、その傷に。
「……遅くなった」
「……別に、来るなんて約束してないでしょ。頼んでもいない」
「ああ」
 頷いて、東北は上越の手を放すと窓の外に目をやった。
「地震が起こるのを止めることはできないが、被害を最小限に抑える努力はできる。脱線防止のレールガイドも東日本の新幹線全てに装備した。東海道たちも続くはずだ」
「……まぁね、日本一を謳うのなら、安全対策も日本一でいてくれないと。――どうせ雨はどうにもできないんだし」
「……」
 かすかにひそめた眉の下、咎める眼差しが上越をとらえる。
 わざと鼻で笑ってやると、諦めたのか小さく息をついて、東北は持ち上げた手で上越の頭を撫でた。
 そして無言のまま歩きだす。
 その背すじは毅然と伸び、上越がついてくることを疑いもせず。
 いろいろ言いたいことはあるものの、言わないことも言わせないことも多すぎる仲だ。三十年近い昔から。
 上越も何も言わずに後に続いて足を踏み出す。
 黙祷の時からずっと手に感じていたわずかなしびれは、今はもう治まり、代わりに言い難い熱の名残を燻らせていた。


    *     *     *


ってことで4年が経ちましたのお話。いろいろ含みを持たせつつ。
地震時の対策、東海道新幹線は何か策あるらしいですが、山陽さんと九州さんは見当たらなかった。
っていうか東海道さんの試験車両が脱線したとか(時速5Kmで脱線て)、九州さんの橋桁がピンチとか、そんな記事が見つかってちょっとショックな10/23。
今年は朱鷺の放鳥もあって、上越さんはいろいろ思うことがありまくりな一年なんじゃないのかな、とか。
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