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でんしゃのひと萌えブログ。 遅延も萌えれば人生三倍楽しいぜ! (毎朝デフォで数分遅れる子に乗ってますのでね…)
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書き初め⑤候補生6番&11番
書き初めその5。候補生ちゃんズ。
候補生時代ってもしかして初めて書いたんじゃね?
っていうかそもそも東北書くの久しぶりじゃね?(パラレル以外)
って思ってみた。

ごほんけのガタケ新刊とか候補生関連のネタを盛大に含みますのでご注意。


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 一・二ヶ月に一度ほど、11番と会って話をする機会がある。
 主な話題は、それぞれに癖のある指導教官路線のことだ。6番の指導をする在来の上越線も相当のスパルタだが、11番の指導をしている東北本線は、小姑のイビリにも似たことを度々11番にしているらしい。
 選考までの時期、他の候補生たちからの嫌味にもどこ吹く風だった彼に、どこまで効いているのかは謎だが、少し前に会った時には、それなりに悩んでいたようだった。
「ねえ。慣れた?」
「うん……。うん、そうだね」
 最近11番は少し変わった。
 どこが、というと、うまく言葉では言い表せないのだが、雰囲気が。
「君は?」
「んー……まぁまぁかな」
 己の使命は分かっていたつもりではいたが、それがどれだけ過酷なものか、まさに『身をもって』思い知らされている最中である。
 そして『雪に負けない鉄道』が、新幹線が、どれだけあの地に必要なのかも。
「僕は、走るんだ。先輩の名を継いで」
「……君は、上越線のことを、まだ『先輩』って呼ぶんだね」
「そう呼ばないと殴られるもん」
 そう言えば、いつからか。
「君、そう言えば最近、『本線さん』って呼ばないんだね……?」
 問えば、うん、とあっさり応えが返る。
「うん。あの人は僕の部下になる人だから。上司になる僕が、敬称をつけて呼ぶのはおかしい」
 尊敬はするけれど、だからこそ敬称はつけないのだと。
「僕なんか、会ってすぐ『お前は俺の上司になるが今は別だ!』って言われたよ」
「そうだね。今はまだ『上司になる予定の者』だね」
「……『先輩』って、敬称、だっけ?」
「ううん。その組織集団に先にいる人っていう意味」
「そ、か……」
 あの人がそこまで考えてその呼び方を使わせたのかはわからないけれど。
「じゃあ、東海道・山陽新幹線や、在来線たちは、みんな僕らの『先輩』になるんだ」
「そうだね。僕たちは『後輩』、『後から来た者』だ」
 それでも僕たちは、彼らの上に立つんだ。
 青空を見上げて告げられた言葉は、立たなければいけないんだ、と聞こえた。
「うん」
 11番の口調が、以前に比べてはっきり明瞭に、そして淀みなくなっていたことに、やっと気づいた。
 ぼんやりというかのんびりというか、どこか自信なさげともとれる口調が改められている。
 ――誰よりも前を走るよ
 君の隣を空けておいてくれ、と言ったのは彼の方だ。
 並ぶから、と。
 追いつくからと。
 とっくに追いつかれて並ばれている。
 それどころか、彼はすでに、その先に一歩を踏み出しているのではないか。
 そんな気がした。
「負けないよ」
 呟けば、振り向いた11番は思いのほか朗らかな顔で笑った。
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