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でんしゃのひと萌えブログ。
遅延も萌えれば人生三倍楽しいぜ!
(毎朝デフォで数分遅れる子に乗ってますのでね…)
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【たかとき】とき誕2013
「高崎のばーか!」 聞き慣れた罵倒が背後から聞こえ、高崎は背すじを伸ばして振り向いた。 「じょ、上官…?」 ビシッと伸びた背が言葉と同時にへにょりと弛んだのは、振り向いた先にあったのが上官の笑顔だったからだ。 笑顔と言っても、誰がどう見ても嫌な予感しかしない、それはそれは綺麗な微笑みではなくて、自然体のやわらかな笑顔。 つまりそれは、上官の機嫌がニュートラルからご機嫌の間にあることを示している。 「呼んでみただけー」 「は、はぁ…」 呼んでみただけで馬鹿呼ばわりされるのはなんだか腑に落ちないが、いたしかたない。だって相手は上官だ。 逆らうなんてもってのほか、……と言う意味ではなく。 何をされても許してしまうくらいに、身も世もないくらいに、惚れているのだ。 惚れた弱味をまさに体現している、それが今の高崎なのだから。 「なにその気のない返事」 む、と口を尖らせるのを見てしまったら。 「す、すみません!」 謝ると同時に咄嗟に。 数歩の距離を駆け寄るなり可愛らしく突き出された紅唇に触れてしまって、……驚いたのはむしろ高崎の方だった。 「あ、……わぁ!」 我に返って手を離すと、目の前の上官からは盛大なため息が洩れた。 「わぁって、君ねえ。驚いたのはこっちだよ」 「す、すみませんっ……」 「なんで謝るの?何を謝ってるの?」 「え、えと、その……」 咄嗟に条件反射的に口をついて出た謝罪の言葉だったので、高崎は改めて己が何を謝ろうとしたのか、考えた。 キスをしたこと……は、恋人同士なのだから、謝らなくても良いはずだ。今までにも、望むタイミングでキスをしてこないことを怒られたことはあっても、キスをして怒られたことはない。 場所を弁えなかったこと……は、いつも場所を弁えないのはむしろ上官の方なので不問だろう。 ならば。 「え、ええと……突然驚かせてしまったこと……?」 上官は、大きく三回瞬きをして、崩れ落ちた。 「ぶっ……ッハハハ!」 「え、えええっ!?」 そこまで笑われるとは予想外だ。 慌ててしゃがみこむと、尻餅をついた上官は、腹を抱え涙まで浮かべてまさに笑い転げていた。 止めたほうが良いのか悪いのか。 悩む高崎を尻目にしばらくヒィヒィ笑っていた上官は、やがて泣き止む時にも似た震える呼吸をしてから、高崎の頭に手を伸ばした。 引き寄せられるままに顔を寄せ、唇を重ねる。 啄むキスを何度かした後、舌を絡めて吸い合って。 間近で微笑みが輝く。 「高崎のばーか!」 それがまるで『高崎大好き!』に聞こえただなんて、オレほんとに馬鹿かもしれない。高崎は思った。 PR コメントを投稿する
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