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でんしゃのひと萌えブログ。 遅延も萌えれば人生三倍楽しいぜ! (毎朝デフォで数分遅れる子に乗ってますのでね…)
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【臨】おそくなってごめんね?
ってことで(?)。

タイトルまんま、な、山手京浜。バレンタインコバナシ。
だって今15日の22:37、これから書きます!(タイトルの話を)
ライブ感丸出しでGO!



☆ あてんしょん ☆

このお話は紙端国体劇場様の二次創作です。
内容についての責任はSelfishStation相川ひろなにあります。
お問い合わせは相川までお願いします。

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【臨時運行SS】おそくなってごめんね?
(山手×京浜東北。SSはSweetStoryの略だよきっと!)


「――京浜東北は、山手にもうあげた?」
 そんなことを、にこやかに宇都宮に言われたのは、2月14日、昼前の赤羽駅でのことだった。
 上野でも大宮でもない、こんなところで話しかけてくるのは珍しく、またその内容に、京浜東北は眉をひそめた。
「それって……」
「もしかしなくてもバレンタインのチョコレートの話だよ」
 見事に包み隠さず濁しもせずに言ってくれた相手に、京浜東北はため息をつく。
「――あげたほうがいいかな、やっぱり…」
「まさか、あげないつもりだったの?」
「いや、その……」
「期待してると思うよ。あいつの性格からして言えはしないだろうけど」
 『言わない』ではなく『言えない』と言うあたりが宇都宮だ。
「やっぱり、そう思う……?」
 『期待』というのと、『言えない』というのと、両方で。
「そう思わないやつがいるかどうか、在来線集めてアンケートでもしてみたら?」
「いや、それは遠慮しておく」
 別に山手との関係を隠しだてするつもりはないが、おおっぴらに吹聴する気もないのだ。
「とにかく。あげる気があるならすぐ渡すなり、とりあえずあげる気があることを伝えておきなよ。落ち込んで事故でも起こされたら鬱陶しいからね」
「まさか…」
「そんなことない、って言うつもりなら、そこのホームから誰か一人突き落としてあげるけど」
「縁起でもないこと言わないでくれ」
「とにかく。早めにどうにかしなよ」
 それだけ告げて去っていく長身の背中を見送って、京浜東北はひとつ、ため息をついた。



 そこから南下した上野駅で山手線に追いついた。こういうときに、快速運転は便利だと思う。
「山手、ちょっと」
 停車時間はお互いわずかしかない。ときには不便や寂しさを覚えることもあるが、今回は、それがありがたい。
「あのさ、今日、仕事終わったら君の部屋行ってもいい?」
 率直に切り出すと、山手は瞬き一回分の間の後、わずかに赤くなって頷いた。
「そう、――じゃあ後でね」
 それだけ言って、踵を返す。先に発車した電車の中で、京浜東北は、今更大きく音を立てて鳴り始めた胸を押さえ、大きく息を吐き出した。


   *   *   *


 そして深夜。
 昼間とはまた少し違う緊張を胸に、京浜東北は通い慣れたはずの部屋の扉をノックした。
 すぐに扉が開き、まだ制服の山手が顔を出す。
 促されて中へ入ると、しゅんしゅんと湯の沸き始める音がキッチンから聞こえてきた。
「何飲む?」
「ん…、じゃあ、アップルティー」
 こくりと頷きを返した山手の背を視界の端におさめ、ローテーブルの脇に置かれたクッションに腰を下ろす。こんなクッションまで、いつのまにか水玉模様が黄緑と水色なのだ、と気付けば、自然耳が熱くなる。
「京浜東北? ……どうかしたか?」
「え? ――いや、なんでもない」
 慌てて頭を振って、顔にかかった髪を払い深呼吸する。
 なんだかこういう、改まって、というのはとても緊張するのだ。
 まだ落ち着かなくて、京浜東北は先に紅茶をいただくことにした。
「のど渇いちゃった。紅茶ありがとう、いただくね」
「え、京浜、まだ熱…」
「――っ!」
 湯気の立つ紅茶が唇に触れて、その熱さに思わず身を引いた。カップがかすかな水音を立てて揺れたが、山手が少なめに入れてくれていたおかげで零さず済んだのが幸いだ。
「カップ置いて。今氷持ってくる」
 言うなり立ち上がった山手が、片手に水を入れたコップと、もう片手には氷を入れたコップを持ってきた。氷をひとつ摘まんで差し出してくる。
 受け取った氷を口先にあてて、溶けてくる水を少しずつ飲みこむ。やがて氷がなくなると、心配そうにもう一つを差し出してきた山手に頭を振って微笑んだ。
「ありがとう、もう大丈夫。ごめんね」
「……」
「なんていうか、こう……、――ちょっと緊張しちゃうよね」
 冗談めかして笑おうとして、山手の眼差しに息を飲んだ。身体中の熱が凝縮する。
 緊張と、期待と不安と。
 今日一日ずっと、こんな顔で、こんな気持ちで待っていたのだろうか。
 そうだとしたら、宇都宮のらしくもなくおせっかいな助言はこの上なく的確で、そして自分はなんて酷いことをしていたのだろう。
 山手はいつも、いろいろな言葉を飲み込んでしまうけれど。
 言わないだけで、思っていないわけではないと、知っていたはずなのに。
「山手、これ……遅くなってごめんね」
 そう言って差し出すと、山手はそっと、恐る恐る両の手を差し出して、京浜東北の手からチョコレートの包みを受け取った。
「ありがとう……」
「よかったら、開けてみて?」
 うん、と頷いて、山手がそっと包みを解く。その手は京浜東北の服を脱がせる時のように優しく慎重で、京浜東北はそんな自分の発想にひとり赤くなった。
 包みの中は、小さなチョコレートが14個。少しずつ、すべてが違うアソートチョコだ。
「品川の、エキュートの中にあるお店で買ったんだ。だから、もしかして山手がもう食べたことあるものかもしれないと思ったけど、品川で買いたかったし、ちょうど14個だったし、それにした」
「品川で? ちょうど……?」
 よくわからないと言うように首をかしげる山手に微笑む。
「品川は、君に初めて会ったところでしょう?」
 山手がまだ、『山手線』ではなく、『品川線』と呼ばれていたころ。まだ東北線や高崎線もそんな名前ではなくて、それどころか同じ組織の一員ではない、日本鉄道という私鉄の路線で、皆がまだ『電車』じゃなかったころ。
 今は東海道本線と東北本線となった、二つの鉄道路線を結ぶために、生まれたのが品川線だった。
 はじめて挨拶をした時の、寡黙な、実直そうな青年の黒い詰襟姿を、京浜東北は―あの頃は京浜東北ももちろん『京浜東北線』ではなかった―よく覚えている。
「それで、14個って言うのは、僕と君が並走している田端から品川までの駅の数」
「あ……」
「数は別に考えてなかったんだけど、それ見たときに、そう言えばって思って、それにした」
「うん…。ありがとう」
「遅くなってごめんね、日付変わっちゃった」
「いい。電車の運行と同じで、まだ14日扱いだ」
 真面目な顔をして言う山手に思わず吹き出して、チョコを一粒つまむと山手に差し出した。
「じゃあ、14日のうちに、一粒どうぞ」
 少し緊張した面持ちで顔を寄せる山手を見ながら、キスをしたいな、と京浜東北は思った。
 山手がチョコを食べ終わったら、甘い香りのする、いつもよりも甘いキス。
 そんなことを考えていた京浜東北の目の前に、チョコをうまんだ山手の指が差し出される。
「え、僕も?」
 無言で頷く山手に、じゃあ遠慮なく、と京浜東北は口を開けた。少し指先が唇に触れ、頬を赤らめた山手に京浜東北もつられて赤くなる。
 口の中に入れた途端になめらかに溶けるチョコレートは、甘すぎず、それでいてなんだか自然と頬が緩むような幸せな味だ。
「ねえ、山手」
 視線だけで返事をする山手に問いかける。
「今まだ14日扱いなんだよね?」
「うん」
「じゃあ、今キスしたら、バレンタインデイ・キス?」
「……っ、うん」
「――しようか、せっかくだし」
「――うん……」
 ふたりしてテーブルに身を乗り出して、触れるキス。何度か啄んで、舌を触れ合わせて。
 甘い口の中を舐め合って。
 そうしたら、もちろんそれだけじゃ物足りなくなるのは当たり前で。
 ほとんど同時にふたりの視線がベッドへ走り、また相手を捉え、――ふたり、ほとんど同時に立ちあがった。


☆ Sweet End ☆



そしてめくるめく甘い夜のひとときです(笑)。でもチョコレートは使用しませんよ、山手ですから!(誰なら使うと思ってるんだ・笑)
てゆか「チョコより京浜東北が食べたい」とか言ってのけるウグイスを書こう計画はどこに行ったんだ相川(なんて無謀な計画を)。
あ、品川エキナカ、エキュートの中にチョコレートのお店があるのはホントですが、14個入りのアドートチョコがあるかどうかは不明です。っつか店の存在自体数日前に初めて知った。っつーかあっち側行かないもんよ……(いつも改札入ってすぐ山手に乗っちゃう人)。

ところで書き始めと宣言した時刻から妙に時間が経っているのは、途中、ママンがチョコちゃん(我が家のにゃんこ3)が行方不明になったとやってきたので、一緒に外へ探しに出かけていたからです。
にゃんこ1や2ならどっか勝手に出かけて勝手に帰って来て「開けろー!」と鳴くからいいのですが、チョコちゃんは目と頭が悪いので、外には行けない子なのでさすがに心配して探しに出たのでした。っつーかチョコちゃん黒ベースに腹と手足が白い模様なので、夜探すのは非常に困難。しかも鳴かないし。
でも結局、隣の隣の家の、庭にいたので無事捕獲。よかったよかった。
てゆーか血迷ったチョコレート話を書いてる間に迷子のチョコちゃんを探す羽目になるっていったいどんな運命なのか。
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