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でんしゃのひと萌えブログ。
遅延も萌えれば人生三倍楽しいぜ!
(毎朝デフォで数分遅れる子に乗ってますのでね…)
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書き初め④山陽上越
上越が高速鉄道控え室の扉を開けると、中には誰の姿もなかった。 「なんだ、誰もいな……ん?」 ソファから何かがはみ出しているのに気づき、近づいてみれば、それは山陽の脚だった。 三人掛けのソファは、寝そべるには狭い。山陽のような長身ならば尚更だ。 片方の端を枕にして、もう片方に脚を組んで腕も組んで、ちょっと寝っ転がるだけ、という体でいながらぐっすり熟睡しているように見える。 けれどこんな狭いところでこの体勢では、身体はたいして休まらないだろうに。 「お疲れさんだねぇ……隈なんか作っちゃって、イイ男が台無しだよ?」 髪を梳くように撫でると、くすぐったいのか眉間に皺が寄った。 笑ってそっと唇を触れる。 瞼にも口づけ、悪戯心に唆されるまま舌を伸ばして目の下の隈を舐めてやった。 「っ!? ……じょ、ぇつ……?」 「あ、起きちゃった」 ビクリと身を震わせ飛び起きた山陽は、何が起きたのか分からないと顔に書いてこちらをみつめている。 「ちゃんと寝てる? 目の下隈出来てるよ」 「あー……」 「あっちだとちゃんと寝られない? 僕が抱き枕になってあげようか」 「それ、俺は寝かせてもらえるんですか上越さん」 「失礼だな。カラダ目当てみたいな言い方しないでよ」 大げさに憤慨してみせれば、へにょり笑った山陽に抱き寄せられる。 「あー……嬉しい申し出だけど、明日朝イチで会議なんだよね。だからちょっとだけこうさせて」 「え、この体勢地味につらいんだけど」 「じゃあ、ソファ?」 「どう考えても窮屈でしょ」 山陽ひとりであれだけ狭そうだったのだ。同じくらいの体格の上越と、ふたり並んで寝転がれるとは思えない。 「ここはおとなしく仮眠室行こうよ」 「そうねー……お前さんいるなら起こしてもらえるしね」 「何時?」 「んーあと30分くらい?」 「微妙……」 「いやでもアイツ待たせると怒られるから」 「東海道? 電話貸して」 「えっ、ちょ」 返事を聞かずに携帯電話を取り上げる。知った番号を探し出し電話をかけると、すぐに出た。 「山陽?どうした」 「悪いけど一時間遅れるから。じゃあね」 通話を切ると同時に電源も切る。次いで自分の携帯を操作して、バイブも音も鳴らないようにした。アラームだけは一時間半後にセットする。もちろん音は鳴るように、だ。 「さて。これでゆっくり寝られるね」 「いやいや起きてからのことを考えると恐ろしくてとても眠れませんよ」 「大丈夫。僕がちゃんと眠らせてあげるから」 断言すると、山陽は一瞬真顔になり、やがてへにょりと笑みを洩らした。 「上越さんかっこいい……」 「惚れ直した?」 「それはもう」 「そ。それは良かった」 今度の笑みは、少しは力が戻ってきている。 寝て起きて、そうしたらきっといつもどおりの山陽だ。 そうしたらご褒美にキスをしてやろう。 一日の疲れが吹っ飛ぶくらいのキスを。 PR コメントを投稿する
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