現在新規開発休止中の某BLGレーベルが、来年10周年だ!ということを知りまして、ひさしぶりにサイトめぐりをしてみたり、自分の書いたコバナシなぞ読み返したりしてみました。
そしてそのうちのひとつを、山京バージョンに変換してみた(笑)。
…いや、冬用の山京の、準備運動っていうか……。
+ あてんしょん +
紙端国体劇場様の二次、っていうよりもはや、名前と外見設定だけ借りた別人な気がしなくもないベッタベタな話です……。
元気の出る魔法
ドアを開けると、玄関先の靴を見るより先にかけられた声で、山手が来ていることを知った。
『京浜東北、おかえり! おつかれさま☆』
「……ただいま」
短く答え、京浜東北は真っ直ぐソファへと向かうとどさりと身を投げ出した。制服のホックをはずし、ため息をつく。
『──ほんとに疲れてるみたいだね、大丈夫?』
わずかに眉を寄せて覗き込んできた山手内回り人形とその後ろの本人に、大丈夫だよ、と返す声も覇気がない。眼鏡をはずして腕ごと傍らに放り出し、もう片方の腕で目元を覆う。
『何か食べる?』
「いい」
『飲み物も……』
「いらない」
『お風呂も沸いてるよ? 入浴剤もいろいろ…』
「いい。シャワー浴びたばっかだし」
『そう……』
続かない会話に山手がしゅんとなってしまったのは京浜東北にも分かったが、今は指先を少し動かすのも億劫で、どうにもならない。
仕事は嫌いではない、いやもはや好き嫌いで論じられるものでもないが、こうトラブルが立て続けに来ては、心身共にダメージは並大抵のものではない。
いつもなら、それでも山手の気遣いを微笑んで受けられるくらいの余裕は残しているのだが、今日はそれすら面倒になるくらい、京浜東北は疲れ切っていた。
「京浜東北、──」
宥めるように名を呼んで、山手がそっと身を屈めるのが感じられた。少しためらうような間の後で、頬に触れたのは――。
顔を覆っていた腕をどかすと、目の前には内回り人形のドアップがあった。思わず身を引くが、ソファに背を預けた状態ではこれ以上後ずさりようもない。
『元気が出る魔法だよ☆ ボクもう帰るから、ちゃんとベッドで寝てね!』
「――山手……」
小さな手が頬に触れ、本人の手が京浜東北の髪を撫でる。そのまま本人は無言で踵を返すのを見て、京浜東北は思わず呼びとめていた。
「山手。――君は、くれないの?」
「え……」
「内回りだけ? 外回りは――君は、魔法くれないの?」
「け、いひんとうほく……」
眼鏡を外したままで、山手がどんな表情をしているかまではわからない。けれど、このまま帰してしまってはいけない、ということだけははっきりしていて。
疲れてはいるけれど。いや、だからこそ。
「ね、山手。元気の出る魔法、僕にかけて?」
戻ってきた山手がそっと身を屈める。間近に迫ったその顔はわずかに赤くなっていて。
「京浜東北……」
触れる吐息と、乾いた唇。
目を閉じてしまうのがもったいないな、と思いながらも、与えられる心地良さに自然と瞼が下りてきて、緊張も苛立ちも何もかもがほぐされていくのを感じていた。
――そして寝てしまう京浜東北(何)。
ウグイスの服掴んだままとかものすごくかわいい。
蛇の生殺しだけど、ちゃんとベッドに運んで添い寝をしてあげるウグイスです。
そんなドリィミンな山京山。
上から読んでも山京山、下から読んでも山京山(あほ)。
たぶん最初の『山』が内回りで後の『山』が外回りです。…ってそれ結局京山なの!?
みたいな空とウグイス。
某BLGジャンル(ものすごいタイトルの)で昔書いた『口直し』という話を山京バージョンにしてみた(笑)。
ら、なんか全然違う趣になった。ってそりゃそうか……京浜東北をあんな鬼畜社長と一緒にしてはいかんですよ…(ていうかそれじゃ京山だから。笑)
→→もの好きな人(笑)向け、BLGサイトへ直通トンネル。
【heaven's diary】 http://kanazawa.cool.ne.jp/heavensdiary/index.html (18歳以上推奨)
ていうか相川さん、『魔法』ネタ好きですか?(うつたかうつ本『Rabbit Train』参照)
PR